鎮魂歌

寂しい雫。冷たくて、小さくて。

寂しい雫。私の上に降りそそいで。

ほんの短く、私に悲しみを告げる。








鎮魂歌
　ーGentle rainー

この世で最も、欲しかったもの。
何だろうか。幼い頃はたくさんあった。
それが何かは思い出せない、けど。

「おい、ぼやっとするな」
ああ、そうか仕事中だった。
「すいません」
働かなきゃ食べていけない。だからこうして現在進行形で働いてる。
仕事は、軍医。まあ、短期のアルバイトだけど。
訓練中に怪我をした馬鹿な兵士の怪我を治してやってる。

なのに

奴らはとても偉そうで、少し殴りたくなるけど、
それをぐっとこらえる。
本当に疲れる仕事だ。








それにしてもまあ、よくも飽きずに毎日怪我してくれるもんだ。









たまに、戦場に連れて行かれる事がある。
そこに行くと、幼い頃を思い出して、また
「ぼやっとするな」と言われる。







戦場では当然の事だが、人がたくさん死ぬ。
その中には私が治せなかった人も含まれる。
もう、助けられないとわかってる患者なんか助ける義理はないし、
それなら助かる見込みのある患者を多く治す方がいいに決まってる。

しかしそれはある種の残酷な選択肢、なのだ。

だけどその助かる見込みのない命一つと、

何十人もの命が天秤にかけられたなら、

私は、何十人もの命を、選ぶ。

当たり前だ。

たとえそれが大好きな人でも。




だからせめて歌う。

私が棄てた命の分だけ。













この世で最も欲しいもの

きっと、謝罪の言葉と、祈る為の歌







［あとがき］
なんか色々すいませんなのですorz
改行が異様に多い・・・！！
設定に、医療兵、とありましたので少し活用させて頂きました。

コゲトメ様、波璃さん、書かせて頂き有り難うございました・・！！
お疲れ様会でもよろしくお願いします！

［補足説明］

　ーGentle rainー
優しい雨